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Post American World 

著者はNewsweek InternationalのEditor。インド生まれのインド人で18歳のときにアメリカに留学。インド人でありながら18歳以降アメリカで暮らしてきた著者ならではのアメリカ論が展開される。

タイトルは"Post American World"だがいわゆる大国凋落論ではない。今後アメリカは今のような唯一の超大国ではなくなろうだろうが、それはアメリカが衰退するということではなく、他の国が力をつけることによりアメリカの世界における相対的な位置づけや役割が変わっていく中で、アメリカの取るべき道についての提言の書。

著者は大英帝国の発展と衰退を追う一方、新興国の代表としての中国とインドにも注目。中国が世界の先進国であり鄭和のように世界に飛び出す人材を生み出した時代から停滞・弱体化していく様や、インドの社会主義下での停滞の時代から、工業化のステップを飛び越えてサービス産業が花開いていく様子を歴史を追って描いていく。

ここでのポイントは、国家の発展も衰退も、固有の文化によるものでも歴史的な必然でもなく、そのときどきの政策とそれにより規定される社会の在り方によるものだということである。たとえば中国などの最近の急成長を儒教による勤勉さといったことに帰する見方を否定し、そもそも昔から儒教文化はあった中で、中国が発展していた時代も停滞・弱体化した時代もあった訳で、儒教だけでは説明にならないとしている。もちろん、例えば西欧の大航海時代の拡大志向の背景の一つとしてキリスト教が持つ布教の使命感というものもあったなど、文化による影響を完全には否定しないが、儒教でもキリスト教でも文化・宗教は要素の一つでしかないということである。

むしろ、国家の発展も衰退もその時々の政策と社会の在り方による。鄭和が当時世界最大の船を建造し大海に乗り出していったにも拘わらず、その後中国は大型船の建造を禁止し海外渡航を禁じる政策に出る。その後、中国の文明の発展速度は低下し、後進国であったはずの西欧に技術面で後塵を拝することになったのである。

また大英帝国の停滞はover-strechにあり、世界のあらゆる細かいことに鼻を突っ込みすぎたことにある。ボーア戦争がその典型であり、これが大英帝国の転落の端緒となったとも言える。

こうした各国の歴史を紐解くことにより、著者は今後のアメリカの取るべき道を示そうとしている。
"The new role for new age is quite differnt from the traditional supoer power role. It involves consultation, cooperation and even compromise. It derives its power by setting agenda, defining issues, and moblizing coalition."

"It is not a top-down hierarchy in which the United States makes decisions and then inform a grateful (or silent) world."

具体的な指針も挙げられている。
1. Set the priority :大英帝国がボーア戦争で犯したような過ちを犯すべきでいない。国家のリソースには限りあり、中東から北朝鮮から何から何まで対応しようとすることにより、結局どれも解決できないといった事態は回避すべき。

2. Build broad rules, not narrow interest:その都度起こる事態で自国の利益を守るために一貫性のない行動を取ることはやめ、大きなフレームワーク、ルールの定着に注力すべき。よかれ悪しかれ第二次大戦後アメリカは、国際組織の構築や民主的国家の協働といった国際社会の発展に寄与していきた。今後の新興国も自分の国の発展のために、今ある国際ルールを覆すのではなく、そのルールの中でやっていこうという風潮になっていることは重要であり、それを維持していくべき。

3. Legitimacy is power :こうした国際社会のルールの定着をはかるためには、アメリカ自身がそれを遵守していくことが極めて重要。国連のsanctionなくイラクに侵攻するといったことを続けていれば、国際社会の反感を買い、国際社会のルール自体を自らが揺るがしてしまうことになる。

最後に、アメリカの強さの理由は、社会が開かれており移民や留学生を広く受け入れ、新しいアイディア、新しい才能を伸ばしていく活力にあると訴える。9・11後規制・統制が強まりこうしたアメリカの強さの背景が失われていくことに著者は強い危惧を覚える。当時反米だったインドからやってきた18歳の内気な少年を温かく迎え入れてくれたアメリカに戻ってほしいという結びの章に、著者の強い思いが込められている。

The Post American World
Fareed Zakaria

The Post American World
アメリカ後の世界 The Future of Freedom: Illiberal Democracy at Home and Abroad Justice: What's the Right Thing to Do? No One's World: The West, the Rising Rest, and the Coming Global Turn The Post-American World: Release 2.0
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