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「文明の接近」 

歴史学者が、人口学のアプローチからイスラム圏の多様性を描き出す。
本著の趣旨は下記の2点に要約できると思う。

1)いわゆる近代化の指標の一つと言われる少子化は、識字率(特に女性の)に負うところが大きく、イスラム圏の中でも国によって様々なステージにあること。たとえば、イエメンなどは相変わらず一人の女性が産む子供の人数は7人台なのに対し、イランは実は西欧なみに少子化が進んでおり、そういう意味ではイスラムの中では相当に近代化が進んでいるといえる。

2)婚姻習慣や父系・母系の別は、イスラム教の影響よりもその土地その土地の伝統や固有の文化の影響が大きいこと。

なかなか面白いアプローチだと思った。ただし、1)について著者たちは、各国の①男性識字率が50%を超えた年、②女性識字率が50%超えた年、③出生率低下の開始年を比較し特に②と③の関係に有意な相関があり、②から四半世紀程度で③に至る傾向が強いとしているが、近年になればなるほど①②③の年は接近し、②と③は逆転していることも多いので、統計的な有意性を語るには少し弱いと思った。

それよりも本の後半の2)の方がよほど面白かった。イスラム教の特徴のように思われている一夫多妻制もイスラムの影響というよりはそれ以前からの部族の習慣によるものだということもわかった。何よりイスラム圏は、東はインドネシアから西はアフリカにまで亘り、「イスラム」の一言で括るにはあまりに広範で多様な文化圏なのである。

さて、この本は「文明の接近」という題ではあるが、上述の通りきわめて狭い論点に絞った話なので、ハンチントンの「文明の衝突」のアンチテーゼとしての幅広い文明圏論を期待すると期待外れとなる。あくまで「人口学的見地によるイスラム論」と割り切って読むのがよい。


photo
文明の接近―「イスラームvs西洋」の虚構
エマニュエル・トッド ユセフ・クルバージュ 石崎 晴己
藤原書店 2008-02

by G-Tools , 2008/06/01


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コメント

初めまして、アメリカ留学のブログを書いてる者です。他ジャンルのブログを見て今後の参考にしたいと思って遊びに来たんですけど普通に楽しんじゃいましたw次の記事更新を楽しみにしてます☆

リンクしました

こんにちは!
検索からこちらのブログを発見しました。
英語学習方法を読ませていただきましたが、私が考える学習方法と非常に共通する物があり、感激しました。
私もfc2でブログを書いており、そちらからリンクさせていただきましたが、メインはURLの方の「STAR DUST英語館」という英語学習サイトの方です。
「英語で書かれた物は、漫画でも映画でも何でも教材になりうる」という考えの元に、自分の好きな物を使って、できるだけ楽しく英語を学習する、というスタンスで
書いています。

ナルニアも大好きで、ちゃちですが、ナルニアのコンテンツも書いています。(^^)

また遊びに来させてくださいね。
それでは。m(_ _)m

玲様

遅くなってしまいましたが、コメントありがとうございました。

ナルニアは世代を超えて楽しめるストーリーですよね。

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