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「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」 

大変興味深く読みました。グローバリゼーションについて書かれた「フラット化する世界」や「中国が世界をメチャクチャにする」は読み物として面白いですが、アネクドートの積み重ねなので、そうした事例がどれだけ広がっているのか全体感がつかみにくい。一方、この本は経済統計を中心とした説明なので、読むのはやや苦労しますが、エピソードや肌感覚が数字で説明されることによりインパクトが明確になってすっきりします。

ただ、歴史的な流れのなかで現在を「新帝国の時代」と位置付ける説明は、面白いがややこじつけ的な気がしないでもありませんでした(”Black Swan”にいう”narrative fallacy”)。純粋に経済統計を読み解いていく部分の方が私としては面白く読めました。

自分の頭の整理のために、面白いと思った部分をやや長々と紹介します。


グローバリゼーションがもたらすもの~金融経済が実物経済の優位に
国際資本の完全移動性により、従来「従」であった金融経済が実物経済の優位に立っている。例えば、外為市場の取引高は1日1兆8800億㌦、店頭デリバティブ取引1兆2200億㌦を加えると3兆1000億㌦、すなわち年間775兆㌦である(2004年時点)。一方、2004年の貿易量は9.3兆㌦であるから、外為取引が実物取引の実に83倍にも上っている。

こうしたマネーは、実物経済のリターンには飽き足らず、先進国では主として資産へ向かう。株価時価総額の伸びが実質GDPの伸びを上回り、不動産価格が上昇するのもこうした過剰マネーによる。米国で住宅価格上昇を背景に資産効果で消費ブームが生じたのもこうした背景による。

グローバリゼーションがもたらすもの~国民国家単位での経済理論が有効でなくなる
・一国経済が基本単位の場合、国内需要が旺盛で国内供給力が天井に近づくと物価が上がる。ところがグローバル経済では、米国に資産効果で消費ブームが生じ需要曲線が右上方にシフトしても、国外に中国を中心とする巨大な供給力があるため供給曲線も右下にシフトしていく。

よって新しい所得(実質GDP)・物価の均衡点は、所得増・価格上昇率鈍化(y軸のPはほぼ不変かむしろ低下)となる。

・90年代後半を境に日米ともGDPギャップの1%の変化がインフレ率に与える影響はおよそ半分に低下。同時期に中国ではインフレ率と失業率の関係が日米以上に希薄化し、失業率1%の変化がインフレ率に与える影響がそれまでの半分となった。

・現在の世界では、米国に集中した消費と、中国に集中した供給がバランスしている状態。06年の中国貿易黒字は1774億ドル・GDPの7.0%と、日本でさえ経験したことのないレベルとなっている。一方、世界の貿易赤字は米国に集中(2005年の世界の貿易赤字1兆4200億ドルのうち56%が米国)。

中国は01年以降積極的な設備投資を行っているが、内需は十分でないため輸出ドライブがかかっている。01年には中国の実質GDP成長率に対する粗鋼生産の所得弾性値は0.96から2.3に跳ね上がった。対応する国外の需要の伸びが継続しなければ過剰設備に陥ることとなる。

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photo
人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか
水野 和夫
日本経済新聞出版社 2007-03

by G-Tools , 2008/02/16


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