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「老いてゆくアジア」 

米経済の減速が明らかになる中、世界経済の牽引役として、引き続き中国・インドの人口急増を背景としたアジア経済発展への期待が高い。

しかし、足元では(インドを除き)アジア各国では急速な少子高齢化が進んでいるのである。本書は、人口推計をもとにアジアの少子高齢化の展望を克明に描き出し、それが世界経済にもたらす影響に警鐘を鳴らす。

世界中に広く知らしめたい重要な経済書だと思う。

【本の内容紹介】
1.雁行的人口変化
昔NIEs諸国の経済発展が日本を先頭とする雁行的発展と呼ばれたように、人口推移でもアジア諸国は日本の足跡を追うことになる。

具体的には、アジアの急速な経済発展に伴い、多産多死から多産少死へ(医療の発展により乳幼児死亡率が下がっても、出生率は急には下がらないため)、そして少産少死へと移っていく。医療の発展に関する「後発国メリット」により、少産少死への移行は急激であり、先進国より短期間で移行する。

65歳以上の人口比率が7%の「高齢化社会」から14%の「高齢社会」への倍加年数は、フランスが115年間、イギリスが47年間、ドイツが40年間だったのに対し、日本は24年間(1970-1994年)だった。

これに対し、韓国は18年(1999-2017年)、シンガポールは16年(200-2016年)、中国は25年(2001-2026年)、タイは22年(2001-2023年)、ベトナムは18年(2020-2038年と推定される(中位推計)。

2.人口ボーナス
ここ数年のアジアの急激な人口増加は、上記の人口変化過程の「多産少死」という過渡的で一時的な事象の結果である。この段階で「人口ボーナス(demographic bonus)」がもたらされる。

「人口ボーナス」とは、人口増加期において、労働力投入量の増加、国内貯蓄率の増加による投資促進(生産年齢人口割合の増加による、養育費率低下・貯蓄率向上、低賃金の労働力増加による企業の投資余力増)等により経済が発展することである。人口増加が人口ボーナス効果を持つためには、初等教育普及による生産性向上、効率的な金融制度も必要である。

人口ボーナス期間を、生産年齢人口割合が増加し始める時点から減少し始める時点までと定義すると、日本は30年代央から90年代央だったが、NIEs各国・中国は60年代央から2010年代央まで、ASEAN5ヶ国は65年代央~70年を起点とし、終点は国により2010年~2040年頃と推計される。

開発の低い段階で人口ボーナス時期に入った中国やASEAN諸国の一部では人口ボーナスを十分に活かしきれない可能性がある。さらに問題なのは、未だ経済発展レベルが十分高くない段階で、人口ボーナスの終点を迎える可能性が高いことである。

人口ボーナスが終わると、労働力投入量の低下、高齢化による国内貯蓄率の低下から成長率は低下する。これを補うためには技術を含む全要素生産性の向上が必要となる。しかし、タイや中国などではベビーブーマーのかなりの部分が最終学歴は初等教育で一次産業に従事し続けている。中国では50歳を過ぎると就業率が急速に低下するとの統計もある。年齢的には生産人口でも実際には生産人口から外れていくのである。こうした状況では国全体の生産性の向上は極めて困難である。

しかも、高齢社会への移行が急激なため、年金制度等の社会福祉制度の整備も不十分である。一方で、従来高齢者を支えてきた地域コミュニティも核家族化の進展で崩壊しつつある。「アジアの高齢者の面倒をいったいだれが見るのか」。本書が投げかける重い問いである。

photo
老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)
大泉 啓一郎
中央公論新社 2007-09

by G-Tools , 2008/02/04

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