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"China Shakes the World"/「中国が世界をメチャクチャにする」 

この本は訳書の方で読みました。

作者のジェームズ・キングは、エジンバラ大学東洋語学科卒で1980年代初めに中国の山東大学に留学。その後フィナンシャル・タイムスの記者となり、日本駐在を経て1998年から2005年まで北京支局長を務めてます。

つまり、最近の中国ブームに乗った「にわか中国論者」ではなく、筋金入りの中国通と言えましょう。かといって、本書に触れられているエドガー・スノーのように中国側に「取り込まれて」しまってはおらず、冷静な分析をしていると感じました。

例によって邦題がよくないですね。センセーショナリズムを煽る浅薄な本のようなイメージを与えます。原題は"China Shakes the World"。「中国が世界を揺るがす」ぐらいでよいのではないかと思います。

内容は、最近中国について言われていることとそれほどかけ離れた話をしている訳ではありません。安い労働力、知的財産権の侵害、公的権力の腐敗、環境を犠牲にした開発。ただ、こうしたことが一般論ではなく、丁寧な取材に基づき、個々の人間の顔の見えるエピソードとして紹介されていることが本書の特徴でしょう。

中国の安い労働力は、西側の、特にブルーカラー層からすると自分たちの仕事を奪っている人々のイメージがあるでしょうが、もちろん安い労働力で儲けている経営者がいる一方で、多くの中国人が福利厚生はもちろん皆無のひどい労働環境で、超長時間・低賃金で働かされている被害者でもあることをこの本は教えてくれます。

成功しているように見える無数の企業家たちも、国内の過剰生産と廉売競争で国内では利益をあげることができず、中国企業の海外進出は国内シェアを守るため、国内での損失を海外の収益で埋め合わせるためという、過去例をみないタイプの進出がほとんどであるとのこと。レノボによるIBMの買収のように、外国企業を買収しようとするのもブランドと技術を一気に手にいれ、国内の類似企業(すなわち外国製品を分解・組み立てという模倣により、雨後の筍のように出てきた競合者たち)との差別化をはかるためと、分析しています。

また地方の役人等公的権力の腐敗もひどく、農民たちがなけなしの資金を投資した地方の油田を、生産が軌道にのると無償で国有化したり、人の戸籍を勝手に乗っ取ったり。こうした公的権力と闇の世界が結びついて、中国経済のかなりの割合(一説には3割近く)がブラックマーケットとも言われている由。ある意味政権トップでも、もうコントロール不能な状況にあるのかもしれないと著者は述べています。

大規模な環境破壊、自らの国民の搾取、スーダンなどへの武器供与の見返りとしての資源確保、そして外国人への憎悪を煽ることによってかろうじて国民の政権を標的にした暴動を抑えつつ、ひたすらに経済拡大を推進する中国。著者は中国を「自転車に乗った象」にたとえます。漕ぎ続けないと倒れてしまい、倒れたときにはその巨大さ故におそろしいことが起こると。

一方、本書の末尾で著者はこう語っています(本自体を図書館に返却してしまったので、おぼろげな記憶ですが)。中国はあまりに大きくなり世界経済に完全に組み込まれてしまったため、世界を敵に回すにはコストが大きくなりすぎた、だから、何とか国際社会と共同歩調を取る道を探ろうとするだろうと。

これが真実であることを祈らずにはいられません。





photo
中国が世界をメチャクチャにする
ジェームズ・キング 栗原 百代
草思社 2006-09-28

by G-Tools , 2007/07/29






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