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"The Art of Happiness"-The Dalai Lama (2) 

この本は、世界中のすべての人々に広く薦めたい名作である。特に世界の宗教的・政治的指導者すべての人に読んでほしいと心から思った。

この本は米国在住の精神分析医ハワード・C・カトラー博士によるダライ・ラマとの対話と、その対話についてのカトラー博士による解説の書である。最初は、なぜダライ・ラマの談話のみの本にせず対話の記録としたのか疑問だったが、読み始めてすぐにその効果が分かった。

対話の記録とすることにより、ダライ・ラマの話をきいたときに我々が感じる疑問をカトラー博士がダライ・ラマに投げかけ、それによってさらに分かりやすい説明を引き出してくれること、そしてカトラー博士が自分の精神分析医としての知識・経験と比較分析することにより、読者はより深い洞察が得られるのである。ダライ・ラマの考え方や実践方法は、当然ながら西洋医学の手法と異なる部分もある一方で、最新の医学的研究から効果があるとされている方法と共通点が多いことなど、解説自体も非常に興味深いものである。

この本を読んで私が感動したことは大きく2つある。

まずは、ダライ・ラマの教えが極めて現実的で実践的であることである。この本の主題”The Art of Happiness”は、個人が幸福感・精神的平穏をどのように得るかであるが、彼の言によれば、それは、「学習・教育、決意、信念、行動、そしてたゆまぬ努力の継続」である。

”The first step involves learning, education…….So, the next step is developing conviction. This conviction to change then develops into determination. Next, one transforms determination into action- the strong determination to change enables us to make a sustained effort to implement the actual changes. This final factor of effort is critical.”

カトラー博士とダライ・ラマの会話には、しばしば「テクニック」という言葉が出てくる。「こうした訓練をするための『テクニック』は何ですか?」といった調子である。宗教家の口から「テクニック」という単語が出ることに最初は違和感をおぼえるが、ダライ・ラマは「テクニック」という言葉を使うことをいとわない。彼の教えは、人間は体を鍛えるのと同じように、学び訓練することで精神を鍛え高めることができるということであり、まさにそれは一種の”art”(技術)なのである。

もう一つ私が感動した点は、ダライ・ラマの教えの普遍性である。ダライ・ラマは、仏教徒だけに語りかけているのではない。カトラー博士が、具体的な手法(テクニック)を質問すると、ダライ・ラマは必ずといっていいほど、「仏教徒であれば、これこれの考え方がよいであろう、キリスト教徒であれば、これこれの考え方が役に立つであろう、無神教であれば、これこれのように考えることがよいであろう」といった答え方をしてくれる。もちろん、その教えの根底にある考え方は宗教に係わらず共通なのであるが、人にはそれぞれの信念に基づいてもっともふさわしいアプローチがあるだろうという考え方が彼の説明の背景にある。その更に根底には、宗教の多様性を尊重する彼の信念があるのである。

“For myself, I’ve found that Buddhism is best. But that does not mean Buddhism is best for everyone….. And I think we can learn to celebrate that diversity in religions and develop a deep appreciation of the variety of religions….Therefore, we must respect and appreciate the value of all the different major world religious traditions.” (p.248)

(「私自身には仏教が最も適しています。だからといって仏教がすべての人に適しているということにはなりません。我々は、こうした宗教の多様性を称え、多様な宗教を尊重するようになれると私は考えます。我々は、世界のすべの異なる宗教的伝統の価値観を尊重し真価を認めるべきなのです。」)

異なる宗教を攻撃したり揶揄したり、同じ宗教でありながら宗派間で争ったりしている人々にぜひとも読んでほしい言葉である。これこそまさに、世界の精神的指導者にふさわしい言葉だと思う。

この本には、心に残る言葉は他にもたくさんある。また回を改めて書いてみたい。

関係記事:"The Art of Happiness"- The Dalai Lama


photo
The Art of Happiness
Dalai Lama XIV Bstan-'dzin-rgya-mtsho Howard Cutler
Hodder & Stoughton Ltd 1998-10-01

by G-Tools , 2007/04/08





photo
The Art of Happiness
Dalai Lama XIV Bstan-'dzin-rgya-mtsho Howard Cutler
Simon & Schuster Audio

by G-Tools , 2007/04/08




photo
ダライ・ラマ こころの育て方
ハワード・C. カトラー ダライラマ14世 Dalai Lama
求龍堂 2000-04

by G-Tools , 2007/04/08




カテゴリー:あの名作をもう一度


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コメント

Amazonに他の人が書いているレビューを読むと、なんだかややこしい内容の本に思えますが、YNさんの解説はわかりやすくて嬉しくなります。原書も翻訳書もけっこういい値段なので手が出せません(なんて、実は読む気力がない)。というわけで続編を楽しみにしています。
ところで、テンプレートが春色に変わりましたね。爽やかですてきです。

コメントありがとうございます。

私も、値段が高いので図書館で借りました。

季節が変わると、すぐテンプレートの写真を変えたくなってしまいます。でも今回の写真は汎用性(?)が高いので、当面これでいこうと思います。

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