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State of Denial 

今、State of Denialを読んでいます(ようやく半分まで)。ボブ・ウッドワードによるイラク戦争関連ドキュメントの第三弾です。

今回の本は、主としてフセイン政権崩壊後のイラク統治における米国によるミス・マネジメントについて描かれています。先日ラムズフェルド氏がイラク政策の失敗の責任を取って国防長官を辞任しましたが、本書を読むと、問題はラムズフェルド氏個人の責任に帰せるようなものでは、全くないことが分かります。

CIAとホワイトハウスの間のミス・コニュニケーション及び責任の押しつけ合い、CIA自体の情報の粗さと判断ミス、国務省と国防省のせめぎあい(+パウエルとラムズフェルドの個人的な確執)など、政権内部のほとんど機能不全といってもいいような問題が、克明な取材により浮かびあがっています。何より、こうした中で、重要な情報が必ずしも大統領に伝わらず、大統領も本来質問を浴びせかけるべき局面でもそうしないこと(lack of inquisitiveness)により不十分・誤った情報により判断したことが、政権としての判断ミスを招いたと考えられます。

さらには、フセイン政権崩壊後のイラク統治のために派遣されたBremer氏によるミス・マネジメント。特に、前任のガーナー氏の行ってきた努力(既存のイラクの官僚組織や軍隊をある程度利用しながら統治していく目処)を、着任数日ですべてひっくり返して、官僚組織・軍ともに解体命令を発したのは、(後から見てみれば)大きなミスであったと思われます。これによって350,000人もの対米不満分子を野に放ったことになる訳ですから。この後ゲリラ活動が急増したのも当然といえば当然です。

もちろんこれだけの混乱の中では誰がやってもうまくいかなかった可能性は高く、これもBremer氏個人の責のみに帰することはフェアではないでしょう。そもそも戦後統治の経験豊富なガーナー氏を事実上途中解任し、組織運営の経験のない元外交官であるBremer氏を送りこんだ大統領-ラムズフェルド・ラインでの決定が問題であったと考えられますし、前述の官僚組織・軍の解体も当然Bremer氏の単独決定ではなく、このレポーティング・ラインの意を受けてのものなのですから、明らかに政権としての判断ミスと言えましょう。

ちなみに、Bremer氏を送り込む決定について、ガーナー氏に対してラムズフェルド氏は「上が決定した。」と大統領指示であることを匂わせていますが、本書著者ウッドワード氏による周辺取材からは、ラムズフェルドが選定したことが疑われます。とにかく本書の取材時点では、イラクが失敗だったことが明らかになっていた為か、この点に限らず多数の決定事項につき当事者の証言が食い違っており、責任の押し付け合いになっていることが分かります。

なお本書の脚注に、前ブッシュ大統領(ブッシュ・シニア)が、91年の湾岸戦争の際にフセイン政権打倒までに踏み込まなかったことに対し後日批判を受けたとき、「政権を倒すことはたやすいが、その後の統治とイラク人へのスムーズな引渡しはきわめて難しい。米軍が抜けるに抜けられず、泥沼にはまる可能性がある」と言ったことが書かれています。ブッシュ・ジュニアはまさにその状況に陥ってしまった。

それにしても、9/11の後なぜイラク侵攻するとの判断に至ったのか、いまだにわかりません。ボブ・ウッドワードによる第1弾"Bush at War"を読んだときも分からなかった。9/11の直後に、唐突にイラク侵攻を持ち出したのは、ウォルフォイッツだったかラムズフェルドだったかとにかく一人か二人で、政権の他の首脳は、イラクとアルカエダの関係を証明する情報はないではないか?なぜ?という感じであったのに、いつの間にかイラクに侵攻することになっていた。第二弾の"State of War"にはこのあたりの経緯は書いてあるのでしょうか。第二弾もいずれ読みたいと思います。

とにかくこのシリーズはものすごい迫力で読み手をぐいぐい引き付けます。本書についてはまだ道半ばで頭の中が整理できていないので、読了後もう一度本書について書きたいと思います。


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コメント

こんばんは!

アメリカ政治の内幕は複雑でよく分かりません。
是非、再度アップして、ご教示下さい。
当時、小生は単純に「CIAが我々の知り得ない情報をつかんだからだろう」と思っていました。程度の差こそあれ、日本政府もそうだったのでしょう?

ユリウス様

こんにちわ。コメントありがとうございます。

この本でCIAの情報がいかに粗いものだったかがよく分かります。ただ、CIAの主張は、それでも大量破壊兵器があるという確証はないと、事前に警告を発していたということで、一方ホワイトハウスは大量破壊兵器関連の情報があれだけたくさん挙げられれば、相応に情報を掴んでいると考えたと、責任の押し付け合いになったという訳です。米政権の判断ミスに踊らされた各国政府も立場がありませんね。

続きを読んで、ぜひまたアップしたいと思います。

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