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Second Life-課題等 

この記事は、Second Lifeに関する以下の一連の記事の続きです。

>>Second Life関連記事 トップはこちら
1.Second Lifeなどのバーチャル・ワールドについて

>>前の記事はこちら 
2-6) 社会的実験?

ここからが今回の記事です。

3. Second Life - 課題等
これまでSecond Lifeのおもしろい面について書いてきたが、Second Lifeなどのバーチャル・ワールドに問題がない訳ではない。ただこうした問題は、必ずしもSecond Life固有の問題ではなく、ネット上のサービスに共通する問題もあり、社会全体で今後考えていくべきだと思われる。

1) セキュリティ
Second Lifeの喫緊の課題はセキュリティの強化である。グリッドへの攻撃は頻発している模様で、2006年9月にはグリッド攻撃の結果として参加者の個人情報流出の疑いも発生した。実際の情報流出有無は結局確認できてはいないようだが、Linden Labもセキュリティ強化を重要課題として取り組んでいる。

2) 個人データの蓄積と利用について
バーチャル・ワールドに限らず、ネット上の各種サービスで蓄積されるユ-ザーの嗜好や行動に関するデータは、企業のマーケティング担当や学術研究者に取って垂涎の的であろう。しかし、安易なデータの流用は個人のプライバシーの侵害となるという意識を、関係者には持ってほしいと思う。今年、AOLは「学術的研究」のためと銘打ってユーザーの検索記録を個人情報を伏せて公開した。しかし個人が特定された例が発生したこともあり大問題となり、責任者は処分されたと記憶している。仮に個人が特定されなくとも、自分の行動がデータとして蓄積され断りなく流用されるというのは、決して気分がいいものではない。

私は、Amazon.comが過去の購買記録に基づいて「おすすめ商品」メールを送ってくるのには慣れたし、最近では便利にも感じている。一方、検索エンジンは幅広く使っているが故に、自分の全行動が記録されているようで実は抵抗がある。別にやましい検索をしている訳ではないが、そのデータが蓄積され広告有効性向上等に利用されること自体プライバシー侵害と感じるときがある。将来的にはネット上の活動のほとんどがSecond Lifeのようなバーチャルワールドになっていくと思うが、その世界では個人の行動データの蓄積・利用について、ユーザーが相手の事業者ごとに同意/拒否を選択できる仕組みになればよいのにと思う。

3 )現実経済への影響
Second Life内で相応の収入を得る人も増えてきており、将来的には現実経済への影響も考えなければならなくなるだろう。バーチャル世界での課税には複雑な問題が絡むが、米国のIRS(税務当局)は調査を始めたようである。また、いずれ資金洗浄(マネーロンダリング)に使われる懸念もあると思う。こんなことを心配する私は考えすぎかと思っていたら、ビジネスウィークでも同じような懸念を挙げていた。テロリストがネットを極めてうまく利用しているのは事実であり、こうした懸念もあながち的外れではないようだ。

では、現在のSecond Life経済はどれくらいの規模なのか。厳密な比較にはならないが、Second Life内の支出総額を各国GDPと比較してみる。

(注:理論的にはGDPは生産された付加価値総額 = 最終消費支出+固定資本形成+在庫増。Slexchangeを見るとSecond Life内では中間財も販売されているようなので、単なる支出金合計では中間需要が控除されないなど粗い数値となるが、中間需要は推計できないため、とりあえず総消費支出で代替する)。

2006年11月5日午後4時45分現在、過去24時間に支出された金額は 632,198米ドル(最新データはこちら)。年換算すると2.3億米ドルとなる。

(同時点で登録者は124万人にて、一人あたり平均年間186米ドル程度となる。この手の研究で有名なCastronova教授がRMTをベースに試算したEverQuestの経済規模("Virtual world grows real economy",NewScientist.com, Jan 28,2002)に比してずいぶん小さい。試算対象も試算方法も異なるので比較してもあまり意味ないが、同試算のper capita GNP $2,266というのは、RMTという限られた市場での一部の高騰価格に引っ張られて過大になっているのではないだろうか。)

一方、2005年の国別GDP(百万米ドル単位、名目ベース)はこちら。2.3億米ドルというのは、178位のトンガと177位のドミニカの間ぐらい。ちなみに、世界全体が44兆米ドル、米国は12兆米ドル、日本は4.6兆米ドル(約538兆円)。

でも2.3億米ドルというのは登録者が124万人でのもの。今後登録者が10倍になり、取引規模が比例して拡大すると仮定すると、2005年146位のタジキスタン程度となる。もし登録者が今のMySpaceぐらいの1億人規模となり、取引規模も比例して拡大すると仮定すると、今の80.6倍の186億米ドルと82位のトルクメニスタンと81位のケニアの間。アフリカのかなりの国を上回り、アイスランド(90位)でさえ上回る。
(なお繰り返しになりますが、前述注の通りSecond Lifeの規模には中間需要を含むであろう総支出数値を使ってある等、厳密にはGDPではありません)。

登録者数が1億人というのはかなり近い将来に達成し得る規模だと思う。実際に現在MySpaceがその規模であり、Second Lifeは英語以外の言語対応にも積極的であるからだ。なお足下は、10月18日に100万人を達成し、本日現在124万人と18日間で24%増という急成長ぶりである。将来的には一人あたりの消費支出も増えていくであろう。

成長速度がどうあれ、いずれ現実の経済に相応のインパクトを与える規模になるであろうことは十分予想できる。3Dバーチャル店舗でリアルの商品を購入するような、今のオンライン取引が単にバーチャル店舗にシフトするような取引も増えるだろうが、バーチャルな服やら翼やら家など、SL内でしか意味のない消費も引き続き多いだろう。要は従来のリソースや市場に制約されない経済圏ということだ。しかもLinden$や、Second Life内の土地の投機的取引も増加している。Linden Labはその「為替政策」について、公式ブログなどでも説明し透明性の維持に努めているが、こうしたバーチャルワールドの運営者に対し、現実の金融・経済当局並の経済運営が求められるような日が来るかもしれない。

4) バーチャル世界中毒、「現実」体験の喪失
インターネット中毒というのはかなり前から問題となっているが、インターネットがバーチャル世界ベースになっていくと、さらに中毒が広がるような気がする。バーチャル世界になると、世界中の人々と交流もより簡単に臨場感を持ってできるし、スポーツその他の活動を試したり、有名アーティストのコンサートや海外旅行などのバーチャル体験も簡単にできてしまう(ちなみに、デュラン・デュランはSecond Life内でコンサートを開催したし、イギリスのとある地方は、Second Lifeに観光局を開いてバーチャル観光を推進している)。

しかし、バーチャルとはあくまで仮想現実であり、現実ではない。本来現実に体験できることをバーチャル体験だけで満足してしまってはもったいないし、バーチャル世界に溺れて現実の生活がおろそかになってしまっては、本末転倒である。

では仮想体験と現実体験と何が違うのか。先日テレビで見た実験でおもしろいものがあった。囲碁をPC相手に行う場合と人相手に行う場合で、前頭葉の活性度を比べると、後者の方が圧倒的に活性度が高かったのだ。人相手であれば、盤面だけでなく、相手の表情・息遣い・手の動きなど数え切れないほどの多数の情報を無意識のうちに脳はプロセスしているのである。

同じように考えれば、たとえば、仮想現実で山歩きをしてみても現実の体験で得られる木々のざわめき、鳥の声、空気の清浄感、風、自然が放出するいろいろな物質やその香りなど無数の要素を体験することはできない。脳と体の健康のためにも、やはり現実世界を大事にしたい。

(余談になりますが、今から20年後くらいには、ゲーム会社やLinden Labのような会社に対し、「ゲーム(やバーチャルワールド)中毒になり脳に障害が発生した」といったような訴訟がたくさん起こされているような気がします。自分でタバコを吸っていたくせにタバコ会社に訴訟を起こすように。前述の囲碁の例でも分かるように、PCとばかり向き合っていると、ゲーム脳になってしまって、大変よくないと思います。訴訟を起こしても脳の健康は戻らない。自分の健康は自分で守る意識で、PCに向かう時間をコントールしないと、、。と思いつつ、なかなかむずかしいですね)。

ここまで読んで下さってありがとうございました。この記事でとりあえず今回のSecond Lifeシリーズは一旦完結です。でも、またしばらくしたら関連記事を書きたいと思っております。


関連カテゴリー:| Business & Economy | Science & Technology|

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コメント

「YNさんのような感性豊かで、かつ、知的女性な女性になりたいな~」などと思っておりましたが、ムリ! 特に知的部分・・・
以下、私のコメントは、メインのSecond Lifeには全く触れず(とっても面白いと思っているのですけれど、コメントは別箇所について)せっかくの素晴らしい記事の質を下げる恐れがありますが、若僧なのでお許しください、って、YNさん、私より年下やったらびっくりするわ!(爆)

>検索エンジンは幅広く使っているが故に、自分の全行動が記録されているようで実は抵抗がある。別にやましい検索をしている訳ではないが、
ある時、自分のGoogleの履歴を見て「なんや、コイツ」「人様には見られたくないわ~」と思った事があります。調べている時は、真剣なのですが(笑)。

>では、現在のSecond Life経済はどれくらいの規模なのか。厳密な比較にはならないが、Second Life内の支出総額を各国GDPと比較してみる。
これ凄いですね。発想といい、結果といい。

>バーチャル世界に溺れて現実の生活がおろそかになってしまっては、本末転倒である。
>PCに向かう時間をコントールしないと、、。と思いつつ、なかなかむずかしいですね。
私もブログを立ち上げてからというもの、PCに向かう時間が大変長くなりました。確かにとても便利で魅力的です。時間の制限もあり、大人になってからPCやバーチャルの世界を体験しているので、あくまでも、現実生活のサポートとして利用できていますが、これが子供の時に出会っていたならどうだろうか、とも考えます。

YNさんのような女性を目指そう!

私も、Mayumi.Kさんに同意! YNさんの記事はいつも「分析が冷静で客観的」なのでまさに「知的」という言葉が相応しいですね。(この知的な部分を見習って、うちらも頑張ろな、まゆみさん!…爆) いつも良い刺激をいただいております。ありがとうございます。

課題はネット全体に共通する部分が多いですよね。特に「データの蓄積」に関しては同じような懸念があります。「蓄積されたデータから個人が特定された」という話は私も新聞で読みました。確かに可能でしょうね。自分の氏名や顔写真などのデータよりも、ある意味、こういう蓄積されたデータの方が、私という人間の本質を見極めるのに役立つ気がします。相手はあくまで「データベース」として取り扱っているとは言え、自分の思考や思想を覗かれているようで、確かに気分のいいものではないですよね。
相手が蓄積したデータを、利用者が削除したいと思った時に削除できるシステムがあればいいのになぁ、と思うことはあります。(実際のところは、「削除しました」と相手が言ってきても、あまり信用できませんけどねぇ。)
私もパソコンのセキュリティソフトで「Cookieを受け入れるかどうか」をサイトごとに判断するようにしています。が、それがどれほどの効果があるのかはわからないし、結局、Amazon.com などの便利でよく使うサイトはCookie を受け入れる設定にしているわけですから、自分のプライバシーを守れているわけでもないのですが…。

現実体験の喪失、というのはとても危険なことですね。ネットにはまってしまうのは、例えば現実世界でこのように Second Life の課題について、熱く語り合うチャンスなど、そうそうないからだと思うのです。まずは自分の意見を述べる、それについて誰かが冷静に返事をくれる、ということが、忙しい現実世界ではあまり味わえない気がするんですよね。
私がブログにはまってしまったのは、そういう機会に乏しい環境にいるからなのは間違いないですし、自分の意見を人に知ってもらう、人と議論できる、ということはとても素晴らしいので、今のこのネット環境にはとても感謝しているのです。
でも、結局は人と人との対話、なんですよね。限界があるとは言え、ネット上であっても、相手の性格というのはどこかに出てくるのだろうと思うのです。そして、自分と波長が合う人が自然と集っていくような気がするんですよね。
現実で味わえない部分をネットで楽しむ、ネットから得た知識を本当の自分に生かしていく、そんな使い方をしたいなぁ、といつも思っています。

Mayumiさん、それほめすぎやぁ。というか幻想やで。本物の私に会ったらがっかりするやろな(笑。関西弁練習中です。あっているかな)。

>自分のGoogleの履歴を見て「なんや、コイツ」「人様には見られたくないわ~」と思った事があります。

私は自分の履歴をしみじみ眺めたことはないですが、見たら自分でもびっくりするかも。検索はもうあまりに日常生活の一部になっていて、何かあると取りあえずググってしまうし、自分が何を検索したかなんてすぐ忘れてしまう。検索履歴として改めて見たら、ぎょっとしそうです。やはり、人には見られたくないですね(別に変なことはしていなくても、気恥ずかしいですよね)。

>私もブログを立ち上げてからというもの、PCに向かう時間が大変長くなりました。

ネットの魅力は膨大な情報の宝庫であるとともに、自分も発信できること、そしていろいろな人と交流できることですよね。とにかく楽しいし、探索しているときりがない。

>時間の制限もあり、大人になってからPCやバーチャルの世界を体験しているので、あくまでも、現実生活のサポートとして利用できていますが、

さすが大人ですな。私は電磁波に弱いらしく、PCに長時間向かっていると具合が悪くなるのに、それでもなかなかPCの電源を切れないことが多いです。こんな自己管理ができない私のために、だれか一日一定時間しかネットに入れない仕組みを作ってくれないだろうか、なんて他力本願なことを思っている今日この頃です。

いや、Rachさんも、幻想ですってば。生まれてこの方「冷静」・「知的」なんて言われたことがないので狂喜乱舞しております。ちなみに、「コミカル」と、「怒りっぽい」と、「ボーっとしている」というのが私への通常の形容詞です。(全部相互矛盾する形容詞のように思えますが。)

>相手はあくまで「データベース」として取り扱っているとは言え、自分の思考や思想を覗かれているようで、確かに気分のいいものではないですよね。

そう、まさに「覗かれている」感がありますよね。もちろん、単なるデータとして割り切れる人など個人によって感じ方は異なると思います。重要なのは、プライバシーについての感じ方は人によって異なるということをネット事業者が尊重し、AOLのように安易に公開するようなことはしないということだと思います。

>限界があるとは言え、ネット上であっても、相手の性格というのはどこかに出てくるのだろうと思うのです。そして、自分と波長が合う人が自然と集っていくような気がするんですよね。

そうですよね。だからこそ世界中でブログやSNSやバーチャルコミュニティの参加者が急増しているのだと思います。私もネットを通じてこうしてRachさんやMayumiさんをはじめとする多くの方々、現実世界ではまず巡りあうこともなかったであろう方々、と交流させて頂くことができていることを思うと、ネットの魅力は何て強いのだろうと思います。

>>現実で味わえない部分をネットで楽しむ、ネットから得た知識を本当の自分に生かしていく、そんな使い方をしたいなぁ、といつも思っています。

私もそれが理想です!

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